アンダーソン夏代 (著)
アノニマスタジオ
『アメリカ南部の家庭料理』著者による書き下ろし初エッセイ集!
自分の台所を愛する人へ贈る、アメリカ南部の料理研究家である著者の初エッセイ。その土地の食材や料理、調味料、レストランやスーパーマーケット、文化について、好奇心溢れる観察眼で、ユーモアを交えて綴ります。映画
評論家の三浦哲哉さん推薦!
本書が描くアメリカ南部料理は、遠いけれど懐かしい。初めて知ることばかりだけれど親しみが湧く。アンダーソン夏代さんという現地生活者が、長年かけて培ってきた知識と愛情を惜しげもなく注ぎ、ディテール豊かに記述するからだろう。取り上げられる料理の多くは「コンフォート・フード」。つまりは古き良きほっとする家庭の味で、これはおいしいにちがいないと確信しながら、頁をめくる手が止まらなくなる。
著者の語り口は凛として、巧まざるユーモアと温かな(サザン!)ホスピタリティに溢れ、日本人が日本語で書いているにもかかわらず、ある種の翻訳文学が帯びるような優雅さを持つ。その声の流れに心地よく身を委ねていると、日々の食卓をおおらかに楽しむこの土地の暮らしぶりがごく自然に目に浮かんでくる。
アメリカ・ディープ・サウスの食文化に通暁するに至るまで著者が辿った日々はどのようなものか。読んで心を震わせた。生活習慣の違いがいかに大きかろうと、臆さず、ひるまず、あくまで楽天的に、着々と理解し、自家薬籠中のものにする。その類まれな探究心と実行力に心の底から脱帽。これからアメリカで新生活を始めるという方にとってもこの上なく有益で励ましの多い手引書となるだろう。
三浦哲哉(映画評論家、青山学院大学文学部教授)