マリア・エウヘニア・マンリケ (著), ラモン・パリス (イラスト), とどろき しずか (翻訳)
18.2 x 30.9 x 0.9 cm 32ページ
福音館書店
1950年~60年代、南米のベネズエラで本当にあったお話です。当時、カイマンの皮はとても人気があったため、漁師はこぞってカイマンを仕留めました。そのせいで、みなしごになった赤ちゃんカイマンが何匹もいたそうです。その中の1匹が、あるとき川の外へ出てきました。それを宝石商ファオロが見つけて家に連れて帰ります。ファオロはこの子に「クロ」と名付け、大切に育てます。噂を聞きつけた近所の人や子どもたちがクロ目当てにやってくるようになり、お店は大繁盛、クロは人気者に。そしてファオロとクロは無二の絆で結ばれていきます。ファオロはクロのためにプールを作ってやったり、最愛のアンヘラとの結婚式に招いたり。幸せな日々が続きますが、ある日、ファオロが突然倒れ、帰らぬ人となります。クロはショックのあまり、何ヶ月も部屋にこもり、食べることも拒絶します。それほどまでに二人の愛情は深かったのです。
マリア・エウヘニア・マンリケ
ベネズエラのカラカスに生まれ、現在はスペインのバルセロナに住む。メキシコ国立絵画彫刻学校ラ・エスメラルダ校で、木版画と金属彫刻を専門に学び美術学科を卒業する。中国の南京大学で東洋画を、日本習字教育財団で墨絵と書道を学ぶ。ベネズエラ、スペイン、メキシコ、コロンビア、アメリカ、プエルトリコ、中国、イタリア、アルゼンチン、日本の美術館やギャラリーで展覧会を開くなど国際的に活躍し、2014 年に中国の鞍山市博物館で開催された「国際中国書画展覧会」で東洋画の大賞を受賞する。東洋画に関する著作4冊。『カイマンのクロ』は、はじめての子ども向けの本。自身もこの物語に登場しており、幼いころ、サン・フェルナンド・デ・アプレに住む親戚を訪ねたときにクロに乗った。
ラモン・パリス
ベネズエラのカラカスに生まれる。子どものころは、サン・フェルナンド・デ・アプレと似た平地の州、バリナスに住み、そこでクロの話を聞く。現在はスペインのバルセロナ在住。児童書を数点刊行しており、そのイラストがボローニャ・ブックフェアの絵本原画コンクールで入選する。そのほかにも、バンコ・デ・リブロ優良図書(ベネズエラ)、IBBY オナーリスト、クアトロガトス財団賞(マイアミにある児童文学財団)、ホワイトレイブンズなどの国際的な賞を受賞。作品は中国語、ポルトガル語、カタルーニャ語、韓国語、ドイツ語に翻訳されている。それぞれの物語がもつ声に耳をかたむけ、そのストーリーの空気にあったイラストを描くことを心がけている。