タイトル：Under the Box, Beyond the Bounds
著者：さわ ひらき
デザイン：近藤一弥
執筆：グラハム・ドンケ（ダンディー・コンテンポラリー・アーツ）
翻訳：野村しのぶ（東京オペラシティ アートギャラリー）
判型：A5判 ハードカバー（クロス貼り+箔押し）／128ページ+小冊子16ページ
発行日：2014年1月
ロンドン在住の映像作家・さわひらき。はじめてのアーティスト・ブックとなる本書は、2013年ダンディー・コンテンポラリー・アーツで発表された新作を中心に構成。ダンディー市にある古い天文台で撮影された新作《Lenticular》（2013）は、老天文家の姿を通し宇宙との繋がりを描きます。ドーム型と四角形の2チャンネルの画面構成に展示風景写真を織り込むことで、作品集ならではの構成に。カナダの寒空の下撮影された《Aurora》（2013）は、大小様々な表情が迫力をもって展開される。2012年のアメリカ横断旅行からなる《Souvenir》（2012）は、さわの手書きのテキストが加わることで、旅の記録が生み出した新しい作品となった。
また、新作のドローイングはスケッチブックを覗いているような16ページ綴りの小冊子になり、作品集に独特の色を添える。巻末には2002年から2013年までの全映像作品を網羅。一貫して変わらない作品の世界観に改めて圧倒させられる。
例えば《Lenticular》を制作する際に、さわは「目に見える形で星空を描くことが重要なのではなく、地上からそれらを眺め、星に思いを馳せている自身を描くことが大切だ」と語る。心地いいテリトリーと境界線。さわひらきの心象風景は私たちの読書体験となって、映像作品とは異なる新しいさわひらきの作品と出会えるだろう。
さわ ひらき
1977年石川県生まれ。2003年ロンドン大学スレード校美術学部彫刻科修士課程修了。2002年East Interntional Awardを受賞した《Dwelling》が高い評価を受け、以降多くの個展、グループ展に参加。近年の主な個展に、2013年「Lenticular」 （ダンディー・コンテンポラリー・アーツ）、2012年「Whirl」（神奈川県民ホールギャラリー）、「Lineament」（資生堂ギャラリー）など。グループ展では、2013年「第12回リヨン・ビエンナーレ」、2011年「成都ビエンナーレ」、2009年「出発―6人のアーティストによる旅」（東京都写真美術館ほか5カ所に巡回）などに参加。現在ロンドン在住。
