Book Design:三宅章介
発行:赤々舎
Size: 182 mm × 257 mm
Page:128 pages
Binding:Softcover
京都の街並みに残る、取り壊された家屋の痕跡。
古い家並みの残る京都にあっても、刻々と街は変容する。
京都在住の写真家・三宅章介は、日々、街を歩き、取り壊された家屋の痕跡に遭遇し、撮り続けてきた。
それは、隣接していた建物の外壁に刻印された、多くは切妻屋根の痕跡である。
家の輪郭を刻むもの、壁のトタンの表情を驚くほど変えるもの、なぜここに?と不思議な位置に窓が
出現するもの......。ひび割れ、煤けた色合い、周囲の看板など、ひとつとして同じものがない痕跡が、
かつてそこに在った人々の営みや、建物と建物との関わりを窺わせる。
その痕跡は時の流れと共に風化し、そこに新たな建物が建造されると人々の視界から消える。やがて隣接していた壁も解体され、人々の記憶から跡形なく消え去る。
ベッヒャーの類型学(タイポロジー)へのオマージュを込めて集積された写真群は、街歩きの貴重な
記録であるとともに、建築的観点からの発見や見ることの奥行きを呼び起こす。