多摩川の夕陽の中でたたずむ人たち。キッチンミノル初の写真集
キッチンミノル 著
ミルブックス
キッチンミノルの写真を見ると、どこか異国の旅先に漂う不安定な空気を感じるのかもしれない。甘ったるいような、ちょっと淋しいような、嬉しいような、切ないような。
― 作家・小川糸
サワサワと吹く川風、匂い、音……。子どもの頃から馴染みのある多摩川。そこで居合わせた見知らぬ人たちを撮り続ける写真家・キッチンミノル。被写体に対して余計な感情は持ち込まず、あえて一定の距離を置いているようにも感じられる写真は、見る人へ、背後に広がるストーリーを想像させる余地を与えてくれる。陽が沈み一日が終わり、その先にはまた新たな時間が流れ始める。暮れかけた多摩川の陽の中でたたずむ人たちには、どんなストーリーが紡がれていくのだろうか。
中川ちえ(エッセイスト)