上林曉 著
山本善行 撰
装丁 櫻井 久
夏葉社
心を病んだ愛妻を看取り、脳溢血による半身不随となってからも、震える左手で原稿を書き続けた昭和の文豪上林暁。暗くて、哀しくて、でも心に灯がともる、上林の端正で美しい私小説は、坪内祐三さん、岡崎武志さんはじめ、多くのシブイ文学ファンから愛され続けています。
上林曉
1902年、高知県生まれ。東京大学英文科卒。改造社の編集者の経て、作家の道に進む。精神を病んだ妻との日々を描いた『明月記』(1942)、『聖ヨハネ病院にて』(1946)、脳溢血によって半身不随となった後に発表した『白い屋形船』(1963)、『ブロンズの首』など、長きにわたって優れた短編小説を書き続けた。1980年没。